はじめに:多くの方が抱える「Officeバージョン問題」
「Office 2016を使っているけど、Microsoft 365も使いたい」 「会社のPCに古いOffice 2013が入っているが、最新版をインストールできるか心配」
このようなご相談を、私たちは年間100件以上いただきます。結論から申し上げると、古いOfficeと新しいOfficeの同時使用は条件付きで可能ですが、多くの場合トラブルの原因となります。
この記事では、Office各バージョンの組み合わせパターンごとに、安全な対処法をご案内します。

【重要】まず知っておくべき「3つの事実」
1. Officeには2つのインストール形式がある
- MSI形式:DVD等からインストールする従来型(Office 2010〜2016の多く)
- C2R形式:インターネット経由でインストールする新型(Microsoft 365、Office 2019以降)
2. 異なる形式は基本的に共存できない
Microsoftが公式に「MSI形式とC2R形式の混在を非推奨」としています。
3. サポート状況で対応が変わる
- サポート終了:Office 2010(2020年終了)、Office 2013(2023年終了)
- サポート中:Office 2016(2025年10月終了予定)、Office 2019(2025年10月終了予定)
- 長期サポート:Office 2021、Microsoft 365
バージョン別対応表【一目でわかる】
バージョン別対応表【一目でわかる】
既存Office | 追加したいOffice | 結果 | 推奨度 | 理由 |
---|---|---|---|---|
Office 2010 | Microsoft 365 | ⚠️ | ★☆☆ | サポート終了済み、削除推奨 |
Office 2013 | Microsoft 365 | ⚠️ | ★☆☆ | サポート終了済み、削除推奨 |
Office 2016 | Microsoft 365 | ⚠️ | ★★☆ | 短期併用可、早期移行推奨 |
Office 2019 | Microsoft 365 | ⚠️ | ★★☆ | 機能重複、一本化推奨 |
Office 2016 | Office 2021 | ⚠️ | ★★☆ | 短期併用可、早期移行推奨 |
Office 2019 | Office 2021 | ❌ | ★☆☆ | ほぼ同機能、必要性低い |
凡例
✅=問題なし ⚠️=条件付き可能 ❌=非推奨
詳細解説:なぜ同時使用が難しいのか?
1. インストール時の自動削除リスク
Office 2016(MSI形式)がインストールされているPCにMicrosoft 365(C2R形式)をインストールすると、既存のOffice 2016が自動的に削除される場合があります。
実際のトラブル例: 「Microsoft 365をインストールしたら、慣れ親しんだOffice 2016が消えてしまった」
2. Outlookは必ず競合する
複数バージョンのOutlookは技術的に共存できません。最後にインストールされたバージョンが有効になり、メール設定の移行が必要になります。
3. ファイル関連付けの混乱
Wordファイル(.docx)をダブルクリックした際、「どちらのバージョンで開くか」が不安定になります。
4. パフォーマンスの低下
両バージョンのバックグラウンドプロセスが同時動作し、PCの動作が重くなります。
【推奨】安全な移行手順
パターンA:Office 2016 → Microsoft 365
ステップ1:事前準備(重要)
- 重要ファイルのバックアップ
- Outlookのメール設定・アドレス帳をエクスポート
- カスタムテンプレート・アドインをバックアップ
ステップ2:段階的インストール
- 現在のOffice 2016の動作確認
- Microsoft 365をインストール
- 1〜2週間の動作テスト期間
- 問題なければOffice 2016をアンインストール
ステップ3:設定の最適化
- ファイル関連付けをMicrosoft 365に統一
- Outlookの設定移行
- OneDriveとの連携設定
パターンB:Office 2013以前 → 最新版
結論:即座に完全移行を推奨
Office 2013以前はすでにサポートが終了しており、セキュリティリスクがあります。併用ではなく、完全な入れ替えをお勧めします。
よくある質問と回答
Q1:「どうしても古いOfficeを残したい場合は?」
A1:別のPCに分けることをお勧めします。 1台のPC内での併用よりも、用途別にPCを分ける方が安全で効率的です。
Q2:「Office 2021とMicrosoft 365、どちらがいい?」
A2:使用スタイルによります。
- Office 2021:買い切り、基本機能で十分、インターネット接続が限定的
- Microsoft 365:最新機能、クラウド連携、複数デバイス使用
Q3:「移行期間中のトラブルが心配です」」
A3:専門サポートをお勧めします。 移行作業は技術的な知識が必要な場合があります。心配な方は専門業者にご相談ください。
【重要】2025年の注意点
Office 2016・2019のサポート終了
2025年10月14日にOffice 2016とOffice 2019の延長サポートが終了します。
今後のスケジュール:
- 2025年10月まで:移行準備期間
- 2025年10月以降:セキュリティ更新停止
- 推奨移行先:Microsoft 365またはOffice 2021
まとめ:安全で効率的なOffice環境のために
- 古いOfficeと新しいOfficeの同時使用は技術的に可能だが、多くの問題を引き起こす
- 段階的移行で安全に新バージョンへ移行することを強く推奨
- サポート終了済みのOffice 2013以前は即座に移行が必要
- 不安な場合は専門業者によるサポートを検討
あなたのPC環境を安全で快適に保つため、適切なタイミングでのOffice移行を計画しましょう。
この記事についてご質問やご相談がある方は、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧にサポートいたします。