突然パソコンの電源を入れたら、見たことのない青い画面が表示されて「回復キーを入力してください」と言われた——そんな経験はありませんか?
今回、糸魚川市内のお客様から「パソコンが起動しなくなった」とご相談をいただきました。富士通のノートパソコンで、48桁の回復キーを求める画面が表示され、何もできない状態でした。
この記事では、同じ症状でお困りの方に向けて、原因と解決方法をわかりやすく解説します。
この青い画面の正体は「BitLocker」
BitLocker(ビットロッカー)とは、Windowsに搭載されているドライブ暗号化機能です。パソコンの盗難や紛失時に、データを第三者に見られないよう保護するための機能です。
問題なのは、この機能が知らないうちに有効になっていることがあるという点です。
最近のWindows 11搭載パソコンでは、Microsoftアカウントでセットアップすると自動的にBitLockerが有効になることがあります。多くの方が暗号化されていることに気づいていません。
なぜ突然、回復キーを求められるのか
BitLockerは、パソコンに何らかの変更を検出すると「不正アクセスかもしれない」と判断し、回復キーを要求します。
こんなことがきっかけになります
- BIOS設定を変更した(起動順序の変更、セキュアブートの切り替えなど)
- Windows Updateが実行された(特にファームウェア更新を含むもの)
- ハードウェアを変更した(メモリ増設、SSD交換など)
- パソコンの起動に何度か失敗した
今回のお客様も「いろいろ設定をいじっていたら、こうなった」とのことでした。ユーザーの感覚では「ちょっと触っただけ」でも、BitLockerは厳しく反応します。
解決方法:Microsoftアカウントから回復キーを取得
回復キーは、Microsoftアカウントに自動保存されている可能性が高いです。
手順
- 別のパソコンまたはスマートフォンから以下のページにアクセス
- 起動できないパソコンで使っていたMicrosoftアカウント(メールアドレス)でサインイン
- 「BitLocker回復キー」の一覧が表示されるので、青い画面に表示されているキーIDと一致するものを探す
- 48桁の回復キーをパソコンに入力
今回のトラブル:ログインできない!
お客様がMicrosoftアカウントにログインしようとしたところ、「ロボットではないことを確認」の画面で何度やってもエラーになるというトラブルが発生しました。
解決策:ブラウザをGoogle ChromeからMicrosoft Edgeに変更したところ、スムーズにログインできました。
MicrosoftのサービスはEdgeとの相性が良いようです。Chromeでうまくいかない場合は、Edgeで試してみてください。
無事解決!そしてBitLockerを無効化
回復キーを入力し、無事にパソコンが起動しました。
その後、**お客様と相談のうえ、BitLockerを無効化(解除)**しました。
BitLockerの無効化手順
- 設定を開く
- プライバシーとセキュリティを選択
- デバイスの暗号化を選択
- オフに切り替える
解除処理はバックグラウンドで実行され、完了までに30分〜数時間かかる場合があります(ドライブ容量による)。解除中もパソコンは使えますが、電源は切らないようにしてください。
一般の方にBitLockerは必要?
今回の件で改めて感じたのは、一般家庭でBitLockerを有効にしておくリスクです。
BitLockerが本当に必要な人
- 企業の機密データを扱う方
- 外出先でパソコンを使うことが多く、盗難リスクがある方
- 顧客情報や個人情報を持ち歩く方
一般の方の場合
- 自宅で使うパソコンに暗号化は過剰
- 回復キーの管理ができない(今回のようなトラブルに)
- 「そこまで守りたいデータ」がそもそもない
- トラブル時に自分で対処できない
「暗号化のせいでデータを全部失うリスク」と「パソコンを盗まれてデータを見られるリスク」——一般家庭では、前者のほうがよほど現実的な脅威ではないでしょうか。
回復キーが見つからない場合
残念ながら、回復キーなしでBitLockerを解除する方法はありません。
この場合、パソコンを初期化(Windows再インストール)するしかなく、保存されていたデータはすべて失われます。
これがBitLockerの怖いところです。「セキュリティのための機能」が「データを失う原因」になってしまうことがあるのです。
まとめ
- 青い画面で「回復キー」を求められたら、Microsoftアカウントにログインして確認
- Chromeでログインできない場合はEdgeで試す
- 解決後はBitLockerの無効化を検討
- Microsoftアカウントとパスワードは必ずメモして保管しておきましょう
同じ症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

